月曜日の朝、新聞配達のバイクの音で目を覚ました。

以前の僕だったら、月曜の早起きに気分を良くしただろう。

しかし、今の僕は街に起こされた事に納得できないものを感じる。

街さえなければ、朝のTVニュースを見たり、電車に乗ったりしないで済むのに。

街は、僕を欲望へと誘う。

 

週末に会社が終わって帰宅する。もう日が暮れている。

帰宅途中の僕に、街は娼婦のように手招きをする。

真っ直ぐに帰ってしまうのもシャクだし、どっかに寄るのも気に食わない。

街さえなければ、そんな事にも悩まされないのに。

街は、何のために誘惑するのだろうか?

 

悩まされないためには田舎へ越せばいいはずだ。

簡単だ、全ての現状を捨てて山にこもればいい。

でも、さみしい山に越すのも落人みたいで気に入らない。

街に生れ、街で育ち、そこでしか生きれなくなっている事から逃げられない。

もう、街から飛び出す元気もない。

 

そして街は、その意味不明な存在を誰にも疑問を持たせずしたたかに在る。

ウツボカズラのように人々を惑わしその虜にして自分の栄養分にしてしまう。

そんな事に気がついた僕は、街にとって意味の無い者として浮浪し漂い

いつか蒸発してしまうのかもしれない。

街から送りだされる、明日という幻の甘い香りに取りつかれた人々を横目でみながら。

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