崖を目指し車をトバす。
おまえとオレのどっちががまんできるかだ。
いいよ、落ちてしまっても、そのガマンができるかだ。
腕力もない、権力もない、金もない、あるのは自慢のボロ車。
さあ、レースを始めよう。
フィフティーフィフティーさ、どっちも同じ立場で、無意味に命を張る。
きれいなもんさ、なんの横槍も謀略もありえない。
オレの布告に同意したのだから。
おまえが、落ちてもそれは運命だ。
さあ、勝負を始めよう。
勝ったら一晩を相手してくれる女の合図でスタートだ。
おまえは、オレより先に手前でブレーキを踏むのさ。おまえの本性を知っている。
背の小さなナポレオンがなぜ強かったか知ってるか?そういうことだ。
スタートというのに、何でオレの顔を見るんだ?もう、負けてしまってるぜ。
女が合図をした。
オレはアクセルを踏んだ、お前はエンストさ。
わざとなのか?街ではあんなにいきがってたくせに。おまえは、勝負の前に負けていた。
全てがみているぜ、お前が勝負よりごまかしを選んだ事を。対峙さえしなかったな。
もう、お前の子分からも相手されない。腕力と口先だけだったって証だ。ただのデクノ棒ってことだ。
そして、数日が過ぎ相手をされなくなった奴は子分と一緒に、正しさを持ち出してくる。
だがもう、遅かった。オレを甘くみていた。