【詩15】True Area



 薄い薄い液晶TVを作るのに
 エンジニアは何を犠牲にしたのだろう

 嘘をつかないニュースばかりで
 彼等は何をするのだろう

 運べないほどの大金は
 どこに重さがあるのだろう

 そんななふうに
 夜に走らせた車でオレンジライトを案内にして
 トンネルを走り抜けて来た
 向こう側は目なんて忘れるほど真っ暗で
 こちら側に戻る道すら見えない
 立っている場所さえ分からず
 前も後も在るのか無いのか分からない
 ただそのエリアは、宇宙よりも無限に広大だが
 全てが自分自身に思えた


 太陽の寿命は科学で計算されているのに
 大きな大きな墓石に名を刻もうとする人

 1000年も生きれるほどの豊かさを持ちながら
 更にさらに豊になろうとする人

 一人よがりな正しさを叫ぶだけで
 明日のコメをめぐんでもらう人

 そんな愛すべき人たちと
 一緒になって夜通し語りあって眠りについた
 目覚めた朝は全てが光で
 それ以外何もなくただ真っ白
 どこにも影さえ存在しないほど
 ただただ光だけで目を閉じても昨日に行けない
 そのエリアはどんな色も見たらないほど
 全ての色を含んでいるので
 目覚めた僕は疑問さえ感じなかった
  
2010.8.22 sorry