【社会システム7】 組織としての資本主義と共産主義




資本主義と共産主義のイデオロギーの決着が完全についた状況の今日、それぞれの主義による違いについて述べます。


ウィキペディアより

資本主義:
基本原理としては生産手段を持つ資本家が、賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システム。

共産主義:
財産の全部または一部(特に生産手段)を共同所有することにより、搾取のない平等な社会をめざす、理論、思想や運動のこと。

上記が主な定義となります。
資本主義は、私有財産を大いに認め経済発展を促すもの、共産主義は、私有財産を認めない方向で経済活動を行うものと解釈して述べていきます。ウィキペディアによれば、特に共産主義の定義は種類が多いと記入されていますので、解釈として上記の様に定義してお話しいたします。

1.固定化した階級的社会になっている共産主義


私は、共産主義は資本主義に比べ私有財産によって不平等にならない社会を作ることをスローガンにしている社会と思います。
しかし、不思議な事に、市民の格差が資本主義社会よりも大きいように見えているのです。共産主義の他国を見ると、資本主義よりも固定化された格差社会が広がっているように見えます。

2.資本主義が勝利した理由


ご存じの通り、ソ連のゴルバチョフ書記長によるペレストロイカから共産主義(昔の東西の勢力として分けて)国家は東側体制を解体してきました。それは、経済的に資本主義の方が勝利したと考えたならば、その理由は何でしょうか?
乱暴ですが、経済発展において資本主義体制の方が成長したという事と思います。
ならば、なぜそうなったか?
共産主義体制の生産(1次産業~3次産業)は、主に国営ですので競争が弱く、そのため西側と比較して発展しなかったのでしょう。
やはり、豊になるためには世界と(他者と)競争しなければ、その成長が弱いということと思います。

3.成長に差が出た本当の理由


結局、固定化した社会では「頑張ってもたかが知れている」と考えている労働者が多く、競争の自由のある社会の「頑張れば大きな富を得る事もある」が多い労働者の社会で、成長に差がついたのです。
しかし、疑問が残ります。
なんで、共産主義体制は固定化が強く出る方向になってしまったのでしょうか?

4.組織として資本主義と共産主義の何が異なるか?


それは、勝ち取る社会(資本主義)と分ける社会(共産主義)の違いなのです。
資本主義圏の国家は、勝たなければ明日は無いという競争社会なので、会社組織が勝ち残ろうとします。
しかし、共産主義は分ける社会なのです。経済的に勝とする事に、資本主義体制より切実ではない体制なのです。
当たり前と思われるでしょう。ですが、その先に本当の理由があるのです。
勝とうとする社会は、稼ぐ能力のあるものを重視します。いくら頭が良くても、稼ぐ力(総力)がなければ意味がないのです。そういう事から、人間の総力として稼ぐ全ての能力が高い人が仕事が出来る人で、それは、様々な能力にチャンスを与えます(多様な機会のある社会)。

しかし、共産主義体制では、自分の組織の中でどのように力を伸ばすかが力そのものなのです。他者と競争する事に意味のない体制ですので(分ける体制なので)、切実に、世界で唯一No1になる意味を感じない組織になってしまいす。当然の結果として、能力というより、自分より力のあるもの(例えば上司)に認めてもらう事が重要になります(気に入られる事が)。
結局、総力としての稼ぐ能力(機会の多様性)を求められる組織と政治的に力をつける能力(能力とあまり関係のない)を求める組織での競争ということになるのです。だから、共産主義体制は、力のあるものに気に入られる事が大事ですし、一度力を持ったらそうそう力を失わない体制ということになるのです(資本主義に比べて)。

皮肉にも、人々の平等をスローガンとする社会は、結果的に固定化した縦社会を作る体制になったのです。


5.今、誰も気づいていない日本の大きな共産主義的組織


日本は、資本主義体制ですが、社会主義的(共産主義的)要素を大いに持っていました。
会社組織が縦社会であり、その組織力によって他社と競争する方法をとっていました。その方法が年功序列だったのです。能力よりも、縦社会(組織力)を重視してきたのです。
しかし、現代は、その年功序列も薄れ、能力重視に移行しているようです。
企業は一昔前より、自由競争の流れの方向に進んでいます。より資本主義化したのです。
そんな流れですが、この国にはそうでない大きな組織があるのです。それは、行政なのです。公務員の世界は、上がった税金を分ける体制です。儲ける事(勝つ事)が目的では無いのです。サービス向上が至上の目的ではない体制なのです。ですから、先に述べた共産主義の特徴を大いに持つのです。
行政が悪い組織なんて言ってるつもりは毛頭ありません。しかし、組織の危機に対して(国家の危機に対して)、自分たちの内部から変化を起こす事が出来ないような固定化した体制なのです。残念ですが、本人たちに自覚があっても変化へ舵を切れないのです。結局、行政は、本質的に分けるというシステムで、それが変化に対応できない体制になってしまっているのです。
補足ですが、アメリカでは、共和党が小さな政府と言ってます。アメリカの保守としては、当然のスローガンなのです。

6.ここ10年くらいの流れと資本主義の混乱


私は、護送船団社会でいいのにと思っていました(多少は分ける社会で)。小さな島国です。まとまって、他者と戦うには組織力がなければならないはずだし、それは、分ける社会を大いに含むのですが、最も重視していたのは、他者に勝つために己より組織の勝利を優先する事を重視した大人の組織だったのです。それは、資本主義の中で組織として戦うために、分ける事を十分に上手に使っていた社会と言えます。
しかし、小泉元首相がそれをぶっ壊してしまいました。時代背景から元首相の決断は、1つの選択だったと思いますし、間違いかどうかなんて、未来の人々にしか結論は出ないでしょう(私には分からない)。
しかし、その事は結果として、国民の選択力を大きくしたのです。
そして、2010年の総選挙の政権交代を生んで、今にいたります。
結局、国民の選択する力が大きくなったのですから、国民1人1人が責任を持って政治を選ばなければならないはずです。
国家の勝利を考える選択でなければなりませんし(利己的でなく)、この国の生き残りは我々が大人の選択をしなければならない事を示唆しています。
自由競争の社会になっている状況に、もう一つ必要なものがあります。組織全体の中で、公の目的と自分の目的とをどのようにバランスを持たせるのか、そんな視点が重要な時代と思います。

今の政治の在様は、我々市民が選んだ体制なのです。それは、選ぶ我々のレベルを映す鏡なのではないのでしょうか?
政治家や何かの組織のおかしさを許しているのは、我々なのです。

7.残った体制だが、それは人類の勝利にはほど遠い


今の世界は、生き残った残った資本主義体制の世界が拡がっています。
そして、世界的に金融不安が発生しています。
この不安定な世界情勢は何を意味しているのでしょうか?
分ける善良そうな体制(マルクス主義体制)に勝ってしまった自由資本主義御体制。
それは、本当の正解ではない最終結論ではない事を示す現在の混沌。
その原因は、効率的生産と富の集中、そして、マルクスが考慮に入れていなかった人間の性質(本性)が大いに関係していると考えています。
その事は、そのうち記述出来たらと思います。。。

2011.8.31 sorry